消化器内科は、食事を食べて消化・吸収し排泄する過程で関係する臓器(食道・胃・十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢・胆管・膵臓)を専門的に診る科で、これらの臓器に起こる病気の検査・診断・治療を全般的に行います。
消化器の病気ではお腹が痛い、吐く、むかむかする、下痢、血を吐く(吐血)、便に血が混じる(下血)、目や皮膚が黄色くなる(黄疸)などの症状が現れます。これに熱を伴うこともあります。お腹が痛いときには胃癌や大腸癌などの悪性腫瘍、胃潰瘍、膵炎、胆嚢炎、炎症性腸疾患などの可能性があります。黄疸の時には胆管・胆嚢・膵臓など悪性腫瘍や結石、肝炎・肝硬変などが考えられます。当科では血液検査、お腹のエコー検査やCT・MRI検査、胃・大腸内視鏡検査、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などを行い、原因を突き止め、適切な治療を行っていきます。
当院の内視鏡検査は体に負担の少ない検査を目指しています。鎮静剤を使用したり、鼻からの細い内視鏡での検査も積極的に行っています。絶食で来院された方の当日の内視鏡検査にも対応します。
病気の進行具合や患者さんの状態によっては外科手術の方が適していることもあります。当院では外科を始めとする関係科と話し合いを行い、患者さんにとってよりよい治療法を実践しています。
また当院では潰瘍性大腸炎、クローン病の疾患に対し顆粒球吸着除去療法(G-CAP)の施行を行っています。当治療は血液を体外に連続的に取り出し、血液内の病因物質を分離、除去したあとに体内へ戻すアフェレシスと言われる治療の一種です。白血球の一部である顆粒球と単球を選択的に吸着除去します。
1回の治療は約90分で当院では透析室で治療を行います。
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消化管疾患(食道癌、胃癌、大腸癌、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、潰瘍性大腸炎など)
検査 | 血液検査、お腹のエコー検査やCT・MRI検査、胃・大腸内視鏡検査など |
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治療 | 早期癌では病変をひとまとめに完全に切除する内視鏡的粘膜下層剥離術を行います(食道・胃・大腸、いずれの臓器でも可能です)。 出血性胃・十二指腸潰瘍などでは内視鏡的止血術を行い、潰瘍の原因のひとつであるヘリコバクターピロリ菌の除菌治療も積極的にお勧めしています。 |
肝臓疾患(肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝臓癌など)
検査 | 血液検査、お腹のエコー検査やCT・MRI検査、肝臓の組織検査など |
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治療 | B型肝炎では病態・年齢などに応じて治療を行います。ウイルスの増殖を抑えて肝炎を沈静化させるため、経口抗ウイルス薬や時にはインターフェロンを使用します。現在の医療ではB型肝炎ウイルスを完全に排除することはできないため、薬剤を中止したときに肝炎が再燃する危険もあり、専門医の定期的な診察が必要です。 C型肝炎の治療は2014年以降、劇的な変化を遂げています。従来使用されていたインターフェロンは強い副作用や年齢制限などがありましたが、新しい治療薬DAA(Direct Acting Antiviral)は副作用が非常に軽く、また年齢制限もなく、90%以上の確率でウイルスの完全排除(治癒)ができるようになりました。治療期間は8~12週間で、その間は2週間毎の通院が必要になります。この治療には国からの助成制度があり、肝臓専門医が必要な書類を作成し役所に提出後に承認がおりれば、一ヶ月に1~2万円の自己負担で治療が可能となります。C型慢性肝炎のみでは特に症状はなく、放置されている患者さんも多くいることが分かっています。放置すると肝硬変、更に肝臓癌や腹水・食道静脈瘤など生命に関わる合併症も起こってくるので、症状がなくても治療が必要です。検査・治療をご希望する方は是非当院受診をお勧めします。 |
胆膵疾患(胆石、総胆管結石、胆嚢・胆管炎、膵炎、胆のう癌、胆管癌、膵臓癌、など)
検査 | 血液検査、お腹のエコー検査やCT・MRI検査、ERCPなど |
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治療 | ERCPは胃の奥の十二指腸まで専用の内視鏡を挿入し、その先から細いチューブを肝臓と膵臓の出口に挿入・造影することで胆管や膵管の結石や腫瘍などの診断を行います。引き続き細胞の検査を行ったり、閉塞した胆管・膵管の中にステントを挿入し黄疸の改善を図ります。 |